声が聴こえる

望んでも望まなくても月日は流れて、色んなモノを失って、失ってきたモノに対する記憶や感情もまた少しずつ失って。


あれから今日で7年経ち、私は31歳になったけれどあのコは今も24歳のまま。


いつも思い出していたし、思い出さない時でもいつもちゃんと手元には居るけれど、どんなに深い悲しみも、記憶が遠ざかれば和らいで、そのことがまた新たな胸の痛みを生む。


思い出そうとしたときにはぼんやりとしか浮かばないのに、ふとした瞬間鮮明に声が聴こえる。

顔の細かな部分は随分曖昧なのに、多分例えば今電話が出来たとしたら、聴こえる声と記憶の声は一緒だと思う。


視覚よりも、聴覚や嗅覚の方が記憶に刻み込まれるのかも知れない。



あの年も、雨続きの1週間で、送り出す日の土曜だけが晴れていたことを覚えている。



あの子の分まで生きるなんて大仰なことは言わないけど。

会いたいなあって、やっぱり思う。


ただそれだけ。